大正生まれの古豪8620は、国鉄の無煙化計画の前に早々に全機廃車となる予定でした。しかし、実際は
本線蒸気が無くなる1975年まで、老体に鞭打ち最後の奉公をする事となりました。
曲線通過性能もよく、保守や使い勝手が良い事から現場では、重宝される機関車でした。「ハチロク」の愛
称で呼ばれた8620が有終の美を飾ったのがこの、湯前線でした。
1975年3月9日、人吉と多良木間を「58654」が牽引する1391レと1392レの貨物運用を最後に国鉄路線上か
ら「ハチロク」はその姿を消すこととなりました。
国鉄最後の現役ハチロクとなった「58654」はその後、矢岳駅構内にある「人吉市SL展示館」に生態保存さ
れましたが、1988年、再び本線上返り咲き、多くのファンに親しまれました。
しかし、老朽化の酷使が祟ったのか車軸焼けのトラブルに見舞われ、除籍される運命でしたが、JR九州の
英断により三度、2009年の夏には、本線に復帰する予定と聞きます――。
なお、湯前線は1989年10月1日、第三セクター「くま川鉄道」に転換され、総輸送量75パーセントが通学生
という路線として存続されています。