著作権について


 最近、新聞や雑誌社が電子メディアで発信する記事・写真などの情報

を、インターネット上で無断利用する事例がかなり目に付きます。無断

で利用している人達の多くは、著作権問題があることを知らないか、知

っていても「どうせ個人のホームページだから」とか、「営利を目的に

していないから」といった理由で“認められるだろう”と、安易に思

っているようです。

 しかし、新聞や雑誌社が発信するほとんどの情報には、著作権がある

のです。当然のことながら、当ホーム・ページで発信する記事・写真も

同様です。

個人用、営業用のいずれも無断転載は「著作権侵害」となります。イン

ターネットなどの電子的なメディアでご利用の場合は必ず、発信元にご

相談くださるようお願い致します。

 

ニュース記事には、著作権が働いています

「著作物」とは、一体どのようなものを指すのでしょうか?

著作権法第10条では、「言語の著作物」「写真の著作物」を定めていま

す。新聞や雑誌社が新聞や雑誌、電子メディアで発信する記事などの情

報、報道写真はこれに該当するのです。同条の第2項で「事実の伝達に

すぎない雑報および時事の報道は、著作物に該当しない」と規定してい

るため、「なんだ。新聞や雑誌の記事には著作権がないんだ!」と早合

点してしまいそうです。

 しかし、ここでは、「事実の伝達にすぎない」という形容詞が付い

ていることにご注意ください。実際は、新聞や雑誌社が発信している情

報には、“原則的に著作権が働いている”と思ってください。

 著作件法は1971年に、旧法から現在の法律に変りました。所管の文化

庁では新法の施行に伴い、「『事実の伝達にすぎない雑報および時事の

報道』とは、人事往来や死亡記事、火事や交通事故などに関する日々の

ニュースなど、単に事実を羅列したにすぎない記事などを指し、著作物

性を有しないものをいうべきものであり、一般報道記事や報道写真はこ

れらに該当しない。著作物として保護されるべきものである」と説明し

ました。

つまり、「いつ、だれが、どこで、どんな死因で、何歳で、死去した」

というだけの死亡記事、あるいは「いつ、どこで、誰の車が、誰の車と

衝突した。運転者は軽傷。」などの簡単な交通事故の記事は、公式に発

表された事実関係を記事にしただけですから、誰が書いても、どこの社

が記事にしても、記事の内容には大差がありません。しかし、死亡記事

でも、故人がどんな業績があったのかに触れたり故人を哀悼する気持ち

を出そうとしたものや、交通事故の記事でも、事故の背景まで切り込ん

だ記述をしていれば、単なる事実の伝達を超え、書き手(記者)の特徴

を反映した記事になります。

「著作権法」では、著作物を次のように定義しています(第2条の1項)。

「思想または感情を創作的に表現したもの」つまり、記者によって表現

に差が生じるような記事は、著作物の条件に該当すると言えるでしょう。

 特集記事はもちろん、一般のニュース記事も通常はその事実を伝える

記者の価値判断や視点を伴っています。また、背景の説明や、取材過程

で見聞きした事実を取捨選択し、記者の個性を反映した表現で書かれて

います。さらには、新聞や雑誌のレイアウトにも高度な創意が加えられ

ているため、著作権法で保護されるべき著作物であると言えます。また、

報道写真は当然ながら、著作権法第10条8号で例示されている「写真の著

作物」に当たるため、無断利用は認めれらないのです。

 以上、著作権について概略は、お分りいただけたかと思います。

 

インターネット時代に合わせ、著作権法が改正されました

 インターネット時代に対応するため、著作権法の改正が1997年6月に成立し、

1998年1月1日から施行されています。これは、世界知的所有機関(WIPO)が、

デジタル・ネットワーク時代に即した国際的な著作権のあり方を検討したもので、

「WIPO著作権条約」「WIPO実演・レコード条約」の二つの新条約を採択したの

を受けたものです。インターネットなどを通じて行われるインタラクティブ送信を

「自動公衆送信」と命名し、インターネットに接続しているサーバーに情報を記録・

入力したり、情報を入力したサーバーをネットワークに接続したりする行為を「送

信可能化」と、呼ぶ事にしました。そして、著作者やレコード製作者・実演家に

「送信可能化権」という、新しい権利を与えたのが特徴です。

 文化庁は、インターネットなどへの著作物の利用については「これまでも複製権

などで著作権者の権利が保護されていた」としていますが、理論的には著作権者

の権利に、わずかなすきまができていました。今回の改正により、このすきまを埋

め、インターネットに他人の著作物を利用する場合には、どのような形でサーバー

に入力しようとも、ネットに接続する時点で公衆送信権が働き、著作権者の承諾が

必要であることを明確にしたものと言えます。

                                            以  上

本稿は、(社)日本新聞協会篇『取材と報道・改訂2版』および

(社)日本雑誌協会の資料を元に執筆しました。